ソ連=新生ロシアの大謀略(2/2)
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ソ連=新生ロシアの大謀略
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大森勝久評論集より
ソ連=新生ロシアの大謀略
一九九九年八月二十日
(続き)
六、ソ連共産党が大謀略を開始した理由
なぜゴルバチョフらソ連共産党は、「東欧解放」等を行なって「侵略主義を放棄したニューソ連」をアピールし、さらにその「ニューソ連」を「新生ロシア」に転換するという、世紀の大謀略戦争を発動することになったのか。これについて、次に述べていこう。
(1)一九八一年一月レーガン大統領が就任し、「強いアメリカ」を掲げ、ソ連に対して「攻勢的封じ込め政策」を採ることになった。
(2)大統領はソ連の大規模な化学兵器生産に対抗して八二年、凍結していた化学兵器の生産再開を命じた。八七年生産となった。
(3)大統領は八三年三月、ソ連を「悪の帝国」と断じ、ソ連の核軍拡に対抗するために、核軍拡競争を断固遂行することを宣言した。
(4)大統領は八三年三月、SDI(戦略防衛構想、宇宙防御兵器)研究開始を決定し、八四年度(八三年十月)から開始していった。SDIの主体はレーザー兵器である。
(5)大統領は八三年十月、カリブ海の国グレナダの共産政権がソ連のための空軍基地を完成させようとしていたところに、米軍の海兵隊と空挺部隊を投入して、グレナダ共産政権を打倒した。
(6)大統領は八三年末から、西ヨーロッパに地上発射の中距離核弾道ミサイル・パーシングⅡと地上発射の中距離巡航ミサイル・核トマホーク(GLCM)の配備を開始した。配備完了時期は八八年である。
ソ連軍は、レーガン大統領(米軍最高司令官)の(3)~(6)の八三年の一連の発言と政策への対処として、一九八四年、有事の臨戦態勢に入ったのである。すなわち「ソ連軍は、一九八四年、『NATO(北大西洋条約機構)の対ソ侵攻』などという、われわれから見ればありもしないことに恐怖してパニックに陥った。(中略)しかも、このレーガン大統領が一九八四年に再選されたために、ソ連としては、レーガン大統領がその最後の任期となる一九八五年から八八年にかけて、ソ連帝国の解体(ソ連・東欧の人民の解放)に向けて西側を総動員して攻めてくると考えたようだ」(中川八洋教授『蘇えるロシア帝国』一一八頁以下。学習研究社九二年六月刊)。
なぜソ連軍五○○万は臨戦態勢に入ったのか。それはソ連共産党が「米国は(6)によって欧州に限定した戦域核戦争遂行能力を獲得した。もしも西側が戦域核戦争を仕掛ければソ連の敗北は必至となる」と考え、心底から恐怖したからである。それを次に説明しよう。
ソ連の中距離核ミサイルは米国には届かないが、西ヨーロッパに配備される米国の中距離核ミサイルはソ連の中枢部(ソ連の欧州部)に到達する。このような「地理の非対称」が米国とソ連の間にはあるのである。だから、もしも米国をリ-ダ-とする西側が欧州で戦域核戦争を起こせば、核戦力も通常戦力も圧倒的に優位のソ連が西ヨーロッパを制圧することにはなるが、ソ連の政治・軍事中枢は米国の中距離核ミサイルで壊滅してしまっている。つまりこの戦域核戦争後のソ連は、もはや核超大国ではなくなってしまっているのである。一方、米国本土は無傷で残っているのである。だから、アメリカが全面核戦争(=戦略核を使用する)の恫喝をすれば、ソ連にはもはや屈服するしか道はないのである。これらは、中川八洋教授が主張していることである(『蘇えるロシア帝国』一二三頁以下、『大侵略』六八頁以下参照)。
なお、八三、八四年当時、アンドロポフソ連共産党書記長は、「戦域核戦争は、必ず全面核戦争にエスカレートするぞ」と何度も宣言していたが、これははったりでしかない。全面核戦争にエスカレートさせるということは、米ソ共倒れになるということであり、ソ連の消滅である。しかしソ連の目標は世界制覇であるから、自らが滅んでしまう戦争は絶対にできないのである。だからもしも西側が、欧州で戦域核戦争を仕掛けたとすれば、ソ連は、全面核戦争にエスカレートさせずに、欧州のみに限定する戦域核戦争を戦うしかない。そして前述の如く、ソ連には敗北しかなくなるのである(『蘇えるロシア帝国』一二九頁参照)。
レーガン大統領の「ソ連=悪の帝国」発言と、グレナダ共産政権つぶしの軍事行動、そして八三年からのINF(中距離核戦力)の西ヨーロッパ配備開始によって、ソ連共産党のエリートは、レーガンは本気でソ連をつぶすために西側を総動員して戦域核戦争を仕掛けてくるかもしれないと考えて、恐怖に陥り、臨戦態勢をとったのである。
もちろんレーガン政権は、戦域核戦争を自ら仕掛けるつもりでINFを配備していったのではない。このINF配備は、ソ連のINFにバランスさせるためにしたにすぎなかった。だが、世界征服のためならば「味方」さえも犠牲(東欧解放の演出で東欧の共産党を犠牲にした)にするメンタリティーのソ連共産党は、自らの姿によって相手を判断することによって、米国もそうだろうと考えた。だから恐怖のためにパニックに陥っていったのである。
西欧配備の米国のINFとは、ソ連が西欧へ侵略を仕掛けたとすれば、米国と西欧(NATO)は欧州戦域核戦争で対抗できるようになるということを意味する。戦域核戦争になれば、戦争後のソ連の敗北は決定してしまうから、ソ連は西欧を侵略することはできなくなってしまうのである。すなわち米国のINFの西欧配備開始とは、ソ連を完全に封じ込めるものになったのである(『大侵略』六九頁参照)。
さらにSDIの研究開始決定が、ソ連共産党を恐怖のパニックに陥し入れた。SDIが開発配備されれば、ソ連が長年苦労して開発・生産・配備してきたICBM、SLBM(潜水艦発射弾道核ミサイル)が宇宙で破壊されてしまうことになり、無効になってしまう。そうなればソ連は、「ICBM、SLBMを米国へ撃ち込むぞ!」という脅しが使えなくなるから、米国の核抑止がストレートに機能することになり、全ヨーロッパ、東アジア、中東を侵略・植民地支配するという(→さらに世界支配へ)ソ連の念願は不可能になってしまう。ソ連は完全に封じ込められてしまうのである。そればかりか、米国がソ連帝国解体のために戦略核戦争の恫喝を加えれば、ソ連は屈服、降伏を余儀なくされることになってしまうのだ。
つまりソ連共産党=ソ連は、米国レーガン政権によって徹底的に追い詰められたのである(だが、米国には軍事理論的にその自覚が全くない!)。再び繰り返そう。このまま事態が進展していけば、客観的に、ソ連は完全に封じ込められて対外侵略ができなくなってしまうだけでなく、将来、透徹した指導者が米国に現れたら、米国の戦略核戦争の恫喝によって、ソ連は敗北、解体することにさえなってしまうのである。
この心底からの危機感と恐怖感が、ゴルバチョフらが、世紀の大謀略シナリオを創り、発動していかざるをえなかった理由である。
七、ソ連=新生ロシアの大謀略によって大軍縮させられている西側諸国
ゴルバチョフのソ連共産党は、米国のINF配備とSDI研究開始決定によって、ソ連存立の危機となった戦略環境を打開するだけでなく、米国ら西側諸国を安心させ無警戒にして大軍縮させてしまい、自らが軍事的に圧倒的優位になれる、そのような大謀略を実行していくことにしたのである。そうすれば、念願の全ユーラシアを征服できるようになるのだ。
INF廃絶条約締結=ソ連の勝利
とはいっても、すぐに「東欧解放」「ソ連から新生ロシアへの革命」を演出するわけにはいかない。西側をうまく騙すにはそれなりのプロセスを踏む必要があるからだ。ゴルバチョフはまず、ソ連得意の「(偽の)軍縮=平和」攻撃をかけていった。「新思考外交」だ。それによって、「ソ連はゴルバチョフの下で平和愛好のニューソ連に変わったのだ」というイメージ(虚像)を西側に植えつけていったのである。
軍事バランスの優位は、軍縮の方法によっても達成できる。つまり自らの軍縮よりも、質的なものも含めて敵国により多く軍縮させてしまえばよいのである。また軍縮条約を締結して、それで敵国を縛り、自らは密かに破っていけばよい。ゴルバチョフの軍縮提案とは全てこうした騙しである。「外交交渉とは平時の戦争だ」と認識しているソ連共産党と、その自覚が希薄な米国政府では、勝負は見えている。
八六年一月、ゴルバチョフは「核兵器三段階廃絶」提案を米国に対して行なった。第一段階は、米ソの戦略核半減と欧州の米ソの長射程INF(1000km以上)の全廃だが、SDIの開発・実験・配備の中止を条件とする。第二段階は英、仏、中国がこれに参加してまず核を凍結する。第一段の終了後に、米ソ英仏中が戦術核(500km以下)を廃絶する。第三段階は残りの全ての核兵器を廃絶する。一九九九年までに達成する。その時点で再び核兵器が出現できないような協定を締結する、というものである(中川八洋教授『核軍縮と平和』八頁以下参照。中央公論社八六年六月刊)。
ゴルバチョフは八六年十月のレイキャビックの米ソ首脳会議でも同様の主張をし、また十月にアフガニスタンからソ連軍の一部兵力を撤兵させる演出も行ない、「新思考外交」の「ニューソ連」をアピールしていった。八七年二月からのINF交渉ではゴルバチョフはSDIはそれにからめないと宣言し、四月には欧州のINFダブルゼロ(長射程も短射程も全廃)を提案し、七月にはアジア太平洋地域のINFも全廃することを提案していった。
自らのINFが侵略国ソ連を完全に封じ込める軍備であることを全く認識していなかったレーガン大統領は、ゴルバチョフの一連の「軍縮=平和」攻撃と、ソ連の方が二倍の量のINFを廃棄するという事実に眩惑されて、八七年十二月にあっさりと米ソINF廃絶条約に調印してしまったのである。質的に比較にならない程深刻に大軍縮させられたのは米国・西側の方であることを、レーガン大統領は認識できなかったのだ。ソ連は封じ込めから自らを解放したのである。
米ソのINFは九一年五月までに全廃された。同条約の検証期間は二○○一年五月までである。それ以降は、全体主義国家である新生ロシアでは、密かにINF生産を再開していくことが可能である。だが一方の自由主義国家である米国では、二○○一年頃には財政面からいってパーシングⅡの生産設備も技術者も消えてしまっている。また条約に違反して密かにINFの再生産を開始していくことは不可能である。自由な報道と世論があるからだ。ソ連=新生ロシアは息の長い戦略を立てるのである。
「ソ連=新生ロシア」のエリートは、条約・協定を戦争手段ととらえており順守する意思などない。彼らにとって条約や協定とは、敵国には順守させ、自らは密かにあるいは機が来れば公然と破って、自国の軍事的優位を確立するために締結するものなのである。ソ連はかつて、締結した日ソ中立条約を破って日本に軍事侵略した。
米国は、INF交渉(軍縮交渉)という平時の戦争(冷戦)において完全にソ連に敗北したのである。
東欧解放、ソ連民主化で西側の意識を変える
ゴルバチョフは八八年五月からアフガニスタンからの本格的撤兵を開始し、「侵略主義の放棄」「新しいソ連」を西側に宣伝していった。ソ連=新生ロシアは、アフガニスタン・中東征服を二、三○年後にズラしただけなのである。その間に戦略的優位を確立するのである。
ゴルバチョフは、右の「平和」攻勢の上に、既述した「東欧解放」の演出を開始していったのである。まずゴルバチョフは八八年十二月、欧州から兵員二四万人と戦車一万輌を削減すると発表した。八九年五月には欧州通常兵力削減交渉の場で、戦車四万輌の大削減を申し出たのであった。
東欧解放とは、東欧四ヶ国に駐留する巨大な兵力のソ連軍が撤退することであり、ワルシャワ条約機構軍(WTO)の解体である。ソ連帝国の国境が約九百km後退することである。(騙しの)欧州通常兵力削減(CFE)条約は九○年十一月に調印された(発効は九二年七月。後で再びふれる)。東欧が解放されることは、西欧侵略のためのソ連の前進地帯・兵力動員地帯の消滅であるから、西側諸国が「ソ連は侵略主義を放棄したのだ」と錯覚したとしても不思議ではない。
ゴルバチョフは八九年に「東欧解放」を実現すると、今度はその「侵略主義を放棄した新ソ連」(演技)の下で、九○年二月から三月にかけて「一党独裁の放棄」「複数政党制」「大統領制」「民衆の政治的自由」という国内の民主的改革を実施(芝居)していった。これで西側は「ソ連は西側と友好関係を築く、人間的で民主的な社会主義国に変わったのだ」と、決定的に騙されてしまったのである。NATOは対ソ脅威否定宣言(九○年七月)を出し、NATOと旧WTO諸国は東西対決の終結と不戦の宣言(同十一月)を出すことになったのである(『大侵略』七二頁以下参照)。
「ソ連解体」でソ連=ロシアの軍事優位確立
さらにゴルバチョフはダメ押しの騙しを実行していった。すなわち、九一年の「ソ連・八月革命」の芝居によって、社会主義国ソ連を「打倒」して、「市場経済と民主主義の新生ロシア」を「誕生」させていったのである。西側をさらに安心させ無警戒にさせるには、ソ連を崩壊させ、西側を冷戦の勝者に仕立て上げて驕慢にさせればよいわけである。そうすれば西側諸国は先を争うようにして軍備を削減していくことになる。事実、そのように進展して今日に至っている。しかもソ連は新生ロシアに変装して、敵と同じ側に位置することができるようになるのだ。
ゴルバチョフの世紀の大謀略によって、今日西側は大軍縮してしまっており、戦略環境は新生ロシア(ゴルバチョフが陰の支配者だ)に極めて優位になってしまっている。
(1)CFE条約(欧州通常兵力削減条約)もゴルバチョフの騙しであった。同条約はウラル山脈以西の欧州の通常戦力に関する取決めである。ソ連・東欧軍が削減した四万輌の戦車のうち、廃棄される一万九千輌は老朽化したものであり、だから通常の廃棄処分であって、削減なのではない。残りの二万一千輌はウラル以東へ移動させればよいのである。またソ連は「軍縮」を叫ぶ一方で軍拡を続け、新鋭の強力な戦車T‐80を大量生産しており、八五年から八九年の間に一万五千輌以上を生産し、九○年代の十年間でさらに一万三千輌を追加する。これらがウラルのすぐ東側に蓄積されていくのである(『大侵略』五五頁以下参照)。
一方の在欧米軍と西欧諸国の通常戦力は、現状よりもはるかに低いレベルに大削減された。在欧米軍の場合、条約の上限数を自主的に大きく下回り、戦車でいえば調印時の五分の一の一一九二輌に大削減してしまっている(一九九五年現在)。この外交戦争でも、西側はゴルバチョフに破れ去ったのである。なお、日本の戦車の年間生産台数は五六輌であり、全体でも一千百十輌にすぎない。
在欧米軍の兵員は三三万人から一○万人に大削減されてしまった。在欧英軍もしかりである。アジア太平洋地域の米軍も削減されている。さらに西側各国は軍事費を大巾に減して通常戦力を大削減している。
(2)INFについては既に述べたとうりである。
(3)欧州に前方展開されていた米軍の核爆弾を除く戦術核と戦場核は、全て本国へ撤去されてしまった。アジア太平洋地域の戦術核、戦場核も全て撤去されてしまった。海上発射巡航ミサイル・トマホークSLCMも全て撤去された。これらを撤去すべき条約は存在しないのに、ブッシュ大統領とクリントン大統領は一方的に撤去したのである。「冷戦の勝者」に仕立て上げられた驕慢から生じた無警戒心の発現であった。
(4)米ソは九○年六月、化学兵器廃棄協定を調印した。米国が八七年に化学兵器生産を再開し、八九年にフル操業に入ったために、米国の化学兵器をつぶすためにゴルバチョフは調印したのである。米国は九○年七月、「西独配備の化学兵器(砲弾約十万発)の廃棄を開始した。米国こそ、欧州において化学兵器に関して武装解除されたのである」(『大侵略』二三○頁)。また国際条約の化学兵器禁止条約の調印・発効(九七年四月)により、西側諸国は十年以内に化学兵器を全廃することになる(二○○七年まで)。だが全体主義国のロシア(=ソ連)では、条約の抜け穴を利用して生産していくことができる。化学兵器はロシア(ソ連)が独占所有することになるのである。
(5)「ソ連解体」の芝居によって、対ソ軍事同盟であったNATOは形骸化、解体されてしまった。NATOとロシアは「特別な協力関係」を結ぶに至っている。日米同盟の主目的は対ソ同盟にあったが、同じ理由でロシアに対しては形骸化、解体させられてしまった。ロシア極東には、日本・極東米軍の戦力を何倍も上回る戦力(核を含む)が存在するというのに!
(6)SDIは、ゴルバチョフの大謀略によって、ブッシュ大統領時代にその熱意は急速に冷えてしまった。そしてクリントン大統領によって、中止された。SDIの開発・配備には十年の年月がかかる。だから将来ロシアが全ユーラシアへの侵略を狙わんとしたとき、SDIは全く使えないものになってしまったのである。
(7)ソ連=ロシアは米国の戦略核兵器を大削減することにも成功してきている。米ソ(ロ)の戦略兵器削減条約=START1と2の調印である。START1は九一年七月に調印され発効している。二○○一年末までに運搬手段の上限数を一六○○基(機)に削減し、弾頭数の上限を六千発に削減するというものだ。START2は未発効だが、二○○七年末までに弾頭数の上限を三千~三千五百発に削減するというもの。二千~二千五百発に削減するというSTART3の予備交渉でこの八月十九日、ロシアは上限をさらに千五百発以下にすることを提案した。英国と仏国も戦略核(ロシアから見るとINFだが)を大きく削減してしまっている。
全ユーラシアの征服を狙うソ連=ロシアの通常戦力、化学戦力は西側を圧倒している。米国とユーラシア大陸の間には両大洋があるからだ。ロシアは長大な縦深を持っていてどこまでも退却が可能であり、だから通常戦力だけでは決して敗北しない。これらの事実を認識することが軍事の基本である。だからこそ、ロシアの全ユーラシア侵略を抑止するには、西側にはロシアの中枢部を攻撃できる戦略核戦力が不可欠になるのである。とりわけ米国の戦略核戦力である。核の傘だ。
ソ連は、自らが西ヨーロッパや日本を侵略したら、同盟によって、米国の戦略核がソ連の政治・軍事中枢に向かって飛んで来るかもしれないと考えて、これまでは侵略を思いとどまってきたわけである。もしも米国の戦略核戦力が貧弱なものであれば、日本も西欧も中東もとっくの昔にソ連に侵略されている。もし、地球上から全ての核兵器が廃絶されたら、通常戦力・化学戦力で他を圧倒するロシアが、全ユーラシアを侵略支配することになるのである。
だから西側諸国(日本も当然!)は核戦力を持ち、強化し、それでロシアを圧倒しなくてはならないのである。西側自由主義国の核戦力は善なる軍備であり、平和のシンボルである。反対に、ロシア、中国、北朝鮮、イラクといった全体主義国の核戦力は悪の軍備であり、平和破壊(侵略)のシンボルである。警察官の武器は自由主義社会を守る良い武器であり、テロリストや犯罪者の武器は悪い武器であるのと同じことである。この単純な真理を理解しえないために、日本政府は毎年八月六日の広島で、非核三原則堅持、核兵器の地球からの廃絶を訴えて、侵略国ロシア(=ソ連)等のお先棒をかつぐ愚行、反国家行為を行なってしまうのである。完全に国内の左翼侵略勢力と同じ行動をしてしまうのである。
米国の戦略核が三分の一、五分の一になることは、米国の核抑止力も三分の一、五分の一に低下するということである。さらにロシアは、ソ連が七○年代の戦略核兵器制限条約を破って核軍拡していったように、START条約も守る意思などないのだ。自らの核優位を確固たるものにすることこそ、ロシアのSTART交渉の狙いなのである。条約は戦争手段なのだ。
(8)ロシアは「市場経済と民主主義」の偽りの衣をまとって西側陣営の一員としてふるまっている。これによってロシアは、西側諸国から最先端技術を獲得できるようになっている。それによってロシアは、西側を侵略するハイテク兵器を開発・製造しているのである。
またロシアは「経済混乱」を演出して、「共産党がこれに乗じて政権を取ったり、ソ連を復活させることを阻止しなくてはならない」と西側を騙して(ロシア共産党を公然と〃復活〃させているのは、このためでもある)、西側諸国と国際機関から多額の「経済支援」を取っている。ロシアはこのカネで、西側を侵略するための軍需産業を強化しているのである。
「経済破綻」「財政危機」も芝居である。ロシアは「経済破綻により国防予算は大削減されて、軍は内部から崩壊してきている」と執拗にプロパガンダしているが、自国を経済的=軍事的に弱小に見せて敵を油断させるのは兵法の基本である。「賃金未払い」といっても、国民は食券をもらって食堂でちゃんと食べているのだ。餓死者なんかどこにもいない。
ロシアはカネを返すつもりなどない。債務繰り延べや借り換えを繰り返して、最後に西側を侵略してしまえば万事解決だ、と考えている。
(9)ソ連=ロシアは西側分断をめざしてきた。九○年十二月に「独ソ善隣・友好・協力条約」が結ばれ(東独を返してもらったので独は親ソになる)、ロシアにも継承された。これは準・同盟である(中川教授)。ロシアは日本との間でも「日ソ平和友好協力条約」を結び、日米を離間させ、日本をロシアへ引きつけようと工作している。この八月十六日、「日ソ防衛交流覚書」が調印された。
(10)ソ連=ロシアは、冷戦終結を演出することで、西側の意識を徹底的に軟弱化することに成功した。西側諸国では左翼の「人権」思想や「平和」思想等がまん延し、各国で保守政党が政権を退き、世界と国内秩序は大きく揺らいできている。湾岸戦争でもコソボ戦争でも、西側は自国軍に戦死者が出るような戦争形態を恐れるようになってしまっているのである。
(11)彼らは、日米、米欧、日欧を互いに経済的に対立させることに成功してきている。九○年代前半の「日米経済戦争」はその最たるものだ。ロシアKGBの工作員が暗躍していることは間違いない。この工作はこれからも続く。
八、二一世紀ロシア=ソ連は全ユーラシアへ大侵略を開始する
今後ロシアは、現在実行中の大謀略戦争を時間をかけて更に発展させて、ロシアの戦略環境をより優位なものにしていく。現在ロシアは新型ICBMを開発しているし、古い兵器を廃棄して(これを軍縮だと騙す)、最新鋭のものに更新している。そして二○一○年か一五年か二○年かはわからないが、これで十分だと判断したら、核兵器、化学兵器、通常兵器を総動員して、一気に日本など東アジア、全ヨーロッパ、中東へ大侵略を開始することになる。
ロシアのエリートは、この大侵略を開始するとき、偽装をやめてソ連であることを公然と宣言して革命戦争として行なうはずである。そうすれば、西側各国の左翼勢力を味方にでき、西側各国内を分断できるからだ。その頃になれば、かつてのソ連が言語に絶する非人道的国家であったという事実は、西側の人々の記憶から消え去ってしまっている。
ソ連が大侵略を開始せんとしたとき、思想軟弱になり軍事的にも大劣位になっている米国は、自分の国が侵略されてもいないのに、ソ連から大量の報復核が飛んでくることを覚悟して、ソ連の政治・軍事中枢へ戦略核を撃ち込んでソ連の侵略を止させようとするだろうか?できるだろうか?その答えは否だ。米国は消極的に侵略を容認していくだろう。侵略された日本など東アジア、全ヨーロッパ、中東では大虐殺、大収奪、大強制連行・強制労働の地獄が出現する。何千万人もの貴い命が奪われることになる。
このまま時が進めばそうなるしかないだろう。私たちは一日でも早くソ連=ロシアの大謀略に気づき、米国を中心に西側同盟の結束を強化し、関係する条約、協定を全て破棄し、一切の交渉を拒絶し、核戦力をはじめとする軍備を増強して、今度は自覚的に「欧州戦域核戦争戦略」に基づいてロシアを攻勢的に封じ込めていく冷戦を早急に再開していかねばならないのである。同時にNMD、TMDさらにSDIを開発配備していかねばならない。
一九九九年八月二十日記
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ソ連=新生ロシアの大謀略(2/2)
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