新ロシアの正体一ソ連(共産ロシア)が上着を替えただけで、独裁支配と侵略主義の中身は不変
ーロシアは民主主義国家ではない。中世のモンゴル帝国のままの帝国主義国家、凶悪野蛮人国家である
ー旧ソ連と変わらぬ全体主義国家である
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大森勝久評論集より
http://1st.geocities.jp/anpo1945/shoutai.html
新ロシアの正体一ソ連(共産ロシア)が上着を替えただけで、独裁支配と侵略主義の中身は不変 2014年4月24日脱
●「新生ロシア誕生・ソ連消滅」はゴルバチョフが演出した「国家の偽装倒壊」である
私は前回の文(2014年4月6日脱)で、ソ連共産党書記長ゴルバチョフ(1985年3月就任)が中心になりシナリオを作り演出した「大謀略」(「ソ連の民主化」「東欧解放」「1991年6月新生ロシア誕生」「ソ連1991年8月政変・革命」「ソ連消滅」)について書いた。ロシア伝統の「大退却兵法」に基づいた「大謀略」である。「新生ロシア誕生・ソ連消滅」は、「国家の偽装倒壊」である。
「大謀略」の狙いについて繰り返しておこう。ソ連は、米国が西欧諸国の陸上に配備したINF=中距離核戦力(射程550 キロメートル以上5500キロメートル以下)と、ソ連周辺の4海域に配備したINF、それと米国が開発を決定したSDI(宇宙防衛兵器で、ソ連の核弾道ミサイルを無効化しうるもの)によって、完全に封じ込められてしまった。さらにゴルバチョフは、米国がこれらのINFを使ってNATO諸国とともに、ソ連に「戦域限定核戦争」を仕掛けてくるかもしれないと恐怖したのであった。もしそうなれば、ソ連は「地理の非対称」(ソ連不利)により敗北が決定してしまうから、戦端を開くことなく降伏するしかなくなる。ゴルバチョフらは、ソ連(ロシア)の解体・滅亡を恐れたのであった(ただし、米国レーガン政権には、「戦域限定核戦争」を挑む意思は全くなかったし、そもそも米国のINFの前方展開が、ソ連に勝利する「戦域限定核戦争」を可能にしたのだ、という戦略的認識自体がなかったのであった)。
ゴルバチョフが中心となって策定して実行した「大謀略」の狙いは、まずはこの米国のINFとSDIを廃絶させてしまうことだ。それだけでなく米国ら西側に、「われわれは冷戦の勝利者だ」と思わせて安心させ無警戒にさせて、「軍縮条約」でまた自主的に、米国らの核戦力も化学戦力も通常戦力も大削減させて、「上着だけ替えた新生ロシア」の戦略的絶対優位を実現していくことである。すなわち新ロシアが20年後、30年後に再大侵略して、大退却で放棄した植民地(東欧)や領土(旧ソ連邦構成国)を再領有をしていくことである。しかしそれで終わらない。ロシアは侵略をさらに拡大して新領土を獲得していくのである。ロシアは500年の侵略史において、そのようなやり方で領土を拡大してきたのだ。北海道と東日本の征服、中東また西欧の征服も計画されている。まだの方には、前回の文も是非一読していただきたいと思う。
本稿では、前回の文で紹介した私が以前まとめた文の中の「国家の偽装倒壊」の「証拠」を、再構成しつつ述べていきたい。「ソ連1991年8月の政変・革命」が全くの演技であった「証拠」は、前回書いたので割愛する。
●新生ロシアで、ソ連共産党と秘密警察KGBの犯罪を告訴・告発した者はゼロだ
ゴルバチョフが策定した大謀略は次のようであった。1991年6月に誕生した新生主権国家ロシアは、「エリツィン大統領が率いる反共産主義・反ソ連で、民主主義と市場経済のロシア」であった。そのエリツィン大統領は、1991年8月19日から22日のソ連共産党保守派の「反ゴルバチョフの軍事クーデター」を、市民のデモで包囲して倒し、救出したゴルバチョフソ連共産党書記長に強要して、ソ連共産党中央委員会を解散させるとともに、ゴルバチョフにも書記長を辞任させたのであった。これによってソ連共産党は活動を停止した(もちろん演技である)。8月24日のことである。エリツィンは12月9日には、「ソ連邦の消滅宣言」を出した。ゴルバチョフは12月25日に、ソ連大統領職を辞任して、ソ連は消滅したのであった。
これが大謀略であることは次の事実により明らかである。1989年の「東欧革命」では、弾圧されていた国民の側が、各国の共産党と秘密警察を倒し追放し、さらに国民を弾圧した彼らの犯罪を告訴・告発して訴追していったのであった。だが新生ロシアでは、ソ連共産党とKGBは国民6600万人を殺害してきたのに、その大犯罪を告訴・告発する国民はゼロであったのだ。 エリツィンもそうしなかった。そもそもエリツィンはソ連共産党政治局員候補にまでなった人物である。
国民の告訴・告発がなかったのは新生ロシアでは名前こそ無くなったが、実体としてのソ連共産党とKGBの国民監視弾圧体制が継続しているからである。すなわち、上記のことは演技である。新生ロシアとは、ソ連(共産ロシア)が上着を替えただけで、本質はソ連時代と全く同じ国家(独裁支配と侵略主義)なのである。つまり「国家の偽装倒壊」であった。
●新生ロシアはKGB(ソ連共産党のエリートが所属する)をそっくり継承した
エリツィンロシア大統領は、ソ連の秘密警察KGBの名前を変え言葉の上でだけ分割して(だから実体は何も変わらない)KGBを継承した。KGB要員はソ連時代のままである。KGBとはソ連共産党のエリート集団である。新生ロシアが反共・反ソ連の民主主義国家でないのは明らかである。
新生ロシアでKGBがそのまま存続したということは、ソ連共産党も存続しているということだ。ゴルバチョフソ連共産党書記長は、ソ連共産党の名前を否定し共産主義も棄てさせたが、ソ連共産党の活動を停止などさせなかったし、その組織の解体など全くしていないのだ。ゴルバチョフは、ソ連共産党の看板を書き替えて、KGBの看板にしたわけである。つまり新生ロシアにおけるKGBとは、ソ連共産党のことである。共産主義を棄てても、独裁支配することは全く支障がない。また、ソ連共産党は共産ロシアのあらゆる組織を支配していたのが、新生ロシアでは看板を付け替えて、他にもたとえば与党の「統一」、野党の「祖国・ロシア」や「ヤブロコ」、またエリツィンが1993年2月に復活させた「ロシア共産党」などにも姿を変えて活動をしているのである。最高権力者のゴルバチョフがコントロールしていったのだ。
●エリツィンは3代続けてKGB出身者をロシア首相に就けた
新ロシアでは、KGB第2総局(国内弾圧部門)と第3総局(軍監視部門)第4、6、7局と第10管理部等がFSB(ロシア保安省)を名乗り、KGB第1総局(対外謀略・諜報部門)がSVR(ロシア対外情報局)を名乗り、KGB国境警備隊総局がFPS(ロシア国境警備局)を名乗ることになった。この名称を変えただけのKGBとは、?よりソ連共産党であるということだ。
エリツィンは、ロシアSVRの初代長官にKGB第1総局のプリマコフを充て、次に外相にし、そして首相にさせていった。エリツィンは、内務省出身のステパシンを1994年にFSB長官にし、次にプリマコフ首相の後任の首相にしていった。エリツィンは1998年にはソ連時代にKGB第1総局に所属して東欧で秘密活動をしていたプーチンをFSB長官に就け、次にはステパシン首相の後任の首相にしていった。さらに、すぐにプーチンに大統領代行も兼任させていった。エリツィンの新ロシアは、反共・反ソ連の民主主義国家ではないのだ。もちろん、これはエリツィンが決定したことではない。陰の独裁支配者・ソ連共産党(=KGB)書記長のゴルバチョフが決定したことである。
こうした人事に、ロシア国民は抗議の声を上げることができなかった。それはソ連時代と同じ国民監視・弾圧体制があるからである。「新ロシア誕生」は、国家の偽装倒壊であった。
●「エリツィン大統領の母親と兄を紹介したテレビ番組」が意味するもの
1991年の後半か1992年に放映されたNHK(と思われる)テレビ番組のことを述べておこう。私は観ていないが、妻が観て教えてくれたのである。エリツィン大統領の家族を紹介したテレビである。兄はレンガ職人であり、粗末な作業服姿で小さな家から出てきたのである。そこに一緒に住む母親も、エプロン姿で気さくなロシアのおばあさんという格好であった。これは「庶民派エリツィン大統領」の虚像を、日本に宣伝(洗脳)するためのものであり、KGBが演出したものだ。NHKは利用されたわけである。
ソ連時代であれ新ロシアのであれ、国家のエリートは全員がその家族を含めて立派な宮殿や御殿で暮らす。多くの召使を抱えている。この映像をロシア人が観れば、子供であってもすぐに嘘だ、芝居だと見破る。この番組が、日本人からロシア人の知人へ伝えられることはありうることである。だが伝えられたとしても、新ロシアにおいても「報道の自由」も「言論の自由」もないから、支配者は恐れる必要がない。だからどんな嘘の芝居でも自ら演じ、また他者に演じさせていくことができるのだ。このNHKの番組は、新ロシアがソ連と同じで報道の自由も言論の自由もない国家であることを証拠立てている。国家の偽装倒壊なのである。
●新ロシアの本当の姿
私は、探検家・関野吉晴氏が1997年春に、アラスカからカヌーでベーリング海峡を渡ってロシアのチュコト半島へ上陸した時のことを映像に収めた「グレートジャーニー」というテレビ番組を観たことがある。潮に流されてしまい、着岸場所も予定時刻も大幅に狂ってしまい、未明に上陸したのであった。そのために、当地のKGBも対処できなかったのであった。それゆえに、ロシア人のありのままの姿がビデオカメラに収められたのであった。
関野氏は路上に立って、朝、工場に出勤してくる労働者に、微笑みながらロシア語で「おはようございます」と声をかけたのである。一人で出勤する男性労働者3、4人にそれぞれ挨拶をしたのだが、誰も挨拶を返さなかったのである。にこりともせず、いちべつしただけで完全に無視する態度で通り過ぎていく者や、いちべつさえくれず関野氏たちがそこに存在しないかのように無表情で通り過ぎてゆく者ばかりであった。 これが本当のロシア国民の姿である。無許可で外国人と言葉を交わすことは厳禁されているのだ。それを犯せば厳罰に処せられる。西側のテレビに出てくるロシア人は、演技をさせられているわけである。自由ゼロの独裁国家が「新ロシア」である。
●特権階級の子供(美女美男)をチェルノブイリ事故の被曝者に仕立て上げて、日本の首相官邸を訪問させた新ロシア
1999年秋、 1986年のチェルノブイリ原発事故で被曝したロシアの子供たち20数名が、日本の医療支援を受けたお礼をするために首相官邸を訪れたことがあった。私はこのテレビニュースを見たが、一目で芝居だとわかった。女の方が圧倒的に多かったが、全員が一見して特権階級の子供であることがわかり、しかも美女美男ばかりであったからだ。彼らはモスクワに住む(KGB=ソ連共産党)の子供たちである。もちろん被曝者ではない。 こういう芝居をしても、新ロシア内でそれを暴露し批判する報道も言論もないから、実行してくるのである。
ロシアの独裁支配者たちは、子供をも使って、日本政府と国民の対ロ意識を変革して、日本から金と技術を提供させて、極東と東シベリア開発を進めていく。ロシアの経済力=軍事力を一層発展させるためだ。それは、日本を侵略する能力の拡大強化である。
●2000年8月の原子力潜水艦クルスク沈没事故の乗員家族への説明会の様子
クルスクの爆発沈没事故で、ロシア政府はクルスク乗員家族への説明会を開いた。その様子はテレビでロシアに流された。その録画を私は観たのだった。
一人の母親が激しく政府に抗議したのだが、彼女は直ちに数人の男女に取り囲まれて背後から強力な薬を注射されて崩れ落ち、男たちによって会場から連れ去られてしまったのであった。この男女はKGBである。
その映像も衝撃的であるが、もっともっと衝撃的であったことは、彼女が抗議している間、他の家族は誰一人同調して声を上げることがなかったし、彼女が連れ出されるときにもやはり抗議の声はあがらなかったことである。全員が顔をこわばらせて視線を下に落としたままであった。
家族たちは、夫や子供を事故で失っても、政府を批判すれば自分たち家族の身の上にも酷い弾圧があることを知っているわけである。もちろん、ロシアのマスメディアは、この映像を見てもどこも政府批判をしなかったし、国民の抗議集会やデモも全くなかった。新ロシアとは、ソ連時代の独裁支配者(ソ連共産党・KGB)が、そのまま支配している国家なのである。
●平然と虚偽を述べるプーチン大統領とそれを見抜けない西側
2000年5月7日、プーチンの「大統領就任式」が各国大使を招いてクレムリンで大々的にとり行なわれた。プーチンは「憲法を守り…国家の主権、独立、安全、一体性を守り、忠実に国民に奉仕することを誓う」と「宣誓文」を読み上げた。「就任演説」では、「ロシアの歴史の中で最高権力が初めて民主的に国民の意志に沿って継承された」「ロシアは国民が誇りを持ち、自由で豊かな文明国にならなければならない」と述べたのであった。プーチンは前日6日の「大統領身分証明書授与式」では、「国民が満足できる生活を実現するには、民主的な国家機構を発展させることが必要だ」と強調していた。
大統領就任式は、「ロシアは法治国家、民主主義国家に変わった」と西側諸国をさらに騙すための演出であった。これも見事に成功を収めたのだった。?から?で述べた事例から、プーチンが真っ赤な嘘を述べていることは明らかだ。プーチンは虚偽を言っても、ロシアではマスコミも一般国民も沈黙し、批判する者はいないことを知るがゆえに、各国大使の前でこのように平然と嘘を述べることができるのである。
西側は、ロシア国民が全く批判することがないがために、プーチンの発言を真実なのだと軽信してしまうわけである。西側の外交官や情報機関やマスコミまた学者の批判精神と分析能力は、恐ろしいほど低いのだ。
●大統領就任式にゴルバチョフが出席したことが、新ロシアの正体を象徴している
このプーチン大統領就任式には、ゴルバチョフ元ソ連共産党書記長・元ソ連大統領も出席した。これが「新ロシア」の正体を象徴している。
新ロシアとは、反ソ連共産党・反ソ連の民主主義と市場経済の国家、西側の価値観を共有する国家ということではなかったのか? そのように主張したエリツィンロシア大統領は、ソ連共産党を活動停止させ、ゴルバチョフをソ連共産党書記長職から辞任させたのではなかったのか?またエリツィンはソ連邦の消滅を宣言し、ゴルバチョフをソ連大統領職から辞任させたのではなかったのか?そしてエリツィンはプーチンを首相にし、大統領代行にし、次期大統領に推薦したのである。プーチンは、打倒し追放したはずのゴルバチョフを出席させてはならないはずである。
つまり、上記の「新ロシア」は演技でしかないということである。新ロシアとは、ソ連(共産ロシア)の偽装国家である。新ロシアの最高権力者はゴルバチョフである。ゴルバチョフは共産主義は棄てたが、ソ連共産党・KGBの組織を使って(様々な看板をかけて)、新ロシアを独裁支配しているのである。
時期はこの直後頃だったと思うが、クレムリンでプーチン大統領とゴルバチョフが対談している写真が新聞に載ったことがあった。当然、ロシアの新聞にも載った。 2人は一緒に座って話をしているのだが、ゴルバチョフがやや反り返り、両手を大きく動かして話をしているのを、プーチンが身を縮めかしこまって拝聴している写真である。
ゴルバチョフがプーチンの大統領就任式に参加して、そのことをロシア国民に知らせ、またプーチン大統領と会談しているこうした写真を公表してロシア国民に知らせたのは、「ロシアはソ連時代と同じなのだ」と知らしめて、ひきつづき国民を恐怖で支配して服従させるためである。「国家の偽装倒壊」の大謀略を知るのは、ごく一部のエリートだけである。だから、知らされていない国民が変な気を起こさないようにするためには、こうしたことが必要となるのだ。?の映像を流したのも、同じ理由である。
●ロシアでは電気・水道・ガス・電話・道路等の工事は予告なしに突然開始される
ソ連時代、電気工事も水道工事もガス工事も電話工事も道路工事も予告なしに突然開始された。もちろん、いつまでに終わるとも伝えられない。「新ロシア」になってからも全く同じである。多くの外国人が体験していることだ。列車や飛行機が突如大幅に遅れても、「都合による」の一言で終わりだ。そして国民は、政府に文句を言うこともなくひたすら黙って従うのである。まさに独裁国家・恐怖支配の国家に特有の現象である。
●「ソチ・オリンピック」で外国人を工事中のホテルに宿泊させたロシア
去る3月ロシアのソチで冬季オリンピックが開催された。「HBC(北海道放送)ラジオ」も期間中アナウンサーなどスタッフを派遣したわけだが、私は彼女の帰国報告を聴いて「やはり!」と思ったものである。彼女らが泊まったホテルは、まだ内装工事が進行中であったのだ。作業員が客がいるのに仕事をしているのであった。しかも夜になっても、電気ドリルの音を大きく響かせていたのである。もちろん、「申し訳ありません」のお詫びもなかったし、料金の払い戻しや割引もなかった。同じクラスの部屋でも外国人と言うことで一般ロシア人よりもずいぶん高い宿泊料であった。彼女はビックリして報告していた。
彼女が憤慨して報告したもう一つは、彼女はソチの町でカフェに入ったのだが、見本品のショートケーキと実際に来たものが違っていたのである。ケーキの上に乗っているはずのイチゴジャムが全くなかったので、その旨を店員さんに言ったところ、女店員は「すみません」とも言わず、無言でジャムの小包パックをテーブルの上に放り投げて去っていったのである。 これが独裁国家・侵略国家ロシアの実相である。テレビでお馴染みの「人の好いロシア人」は演技なのだ。
以上で、「新生ロシア誕生・ソ連消滅」が、「国家の偽装倒壊」の大謀略であることを理解していただけると思う。新ロシアは、ソ連(共産ロシア)が上着を替えただけで、独裁支配と侵略主義の国家の中身は不変である。西側の政府と国民は、騙されてしまったことを自己批判して、このことを認識しなくてはならないのである。
●ロシアは核軍縮条約で対米絶対優位の実現を狙っている
米国ら西側がゴルバチョフらの大謀略を見破っていれば、今日のような世界にはなっていない。米国をリーダーとして西側自由主義陣営は、陸上配備のINF(中距離核戦力)と海洋配備のINFで、独裁国家・侵略国家ソ連を、完全に封じ込めて、SDI開発を精力的に進めて完成させ、実戦配備していただろう。西側諸国も、SDI開発に全面的に資金協力しただろう。米国は戦略核戦力を削減することなど決してなく、逆に増産して、「戦域核戦争戦略・態勢」を完璧にしていっただろう。戦域核戦争戦略・態勢では、「聖域」となる米国本土が大量の戦略核戦力を保有することが、勝利のために必要不可欠であるからだ。
また米国をリーダーとして西側は、中共に対しても同じ「戦略・態勢」で完全に封じ込めていったはずである。封じ込めは経済的にもなされるから、中共の大国化も阻止されたはずである。
しかし西側はそうではなかった。前回の文で書いたように、「INF全廃条約」(陸上配備のINFの運搬手段の全廃条約である)で、ソ連・ロシアを封じ込めていた米国のINFは廃絶されてしまった。父ブッシュ大統領は、条約など無いのに1992年3月に、海洋配備のINF(トマホークSLCM)も一方的に撤去してしまった。これらの陸上・海洋配備のINFは、ロシアと中共を封じ込める武器なのだが、全廃されたり撤去されてしまったのだ。そしてオバマ大統領は2010年4月の「核態勢の見直し」で、撤去して退役にしてあった核トマホークSLCMを廃棄することを明らかにした(その時期は明記されていないが)。武装解除されているのは米国ら西側なのだ。
米国の核兵器(核弾頭)製造工場は閉鎖されてしまっている。米国は水爆の起爆用のプルトニウムピット(塊)を1989年から製造していないが、ロシアは今も2カ所の核兵器(核弾頭)製造工場を稼動させており、年間数百のプルトニウムピットを生産し続けているのだ。米国も一応2003年5月に、プルトニウムピットの生産を再開させる方針を決めたものの、予定どおりに行っても2020年から生産開始になるに過ぎない。
INF全廃条約(運搬手段のミサイル等の全廃。無期限の条約)により、米国のINFのパーシング2弾道ミサイル等や陸上配備のトマホーク巡航ミサイルの生産工場は、既になくなってしまっている。だがロシアは、INFのSSー∂20弾道ミサイル等の生産工場を維持しているのだ。この条約が定めた検証期間は2001年5月までであるから、ロシアはそれ以降は秘密裏にSS‐20を生産できる。内部告発などありえないからだ。またロシアは時期が到来すれば、公然とこの条約を破棄して急増産していくのである。もちろん、核弾頭もすぐに搭載することが出来る。
ロシアにとって「軍縮条約(廃絶を含む)」は、敵国をその条約で拘束し、自らは破っていくものとしてある「戦争手段」なのである。米国は「条約」の考え方において、すでに負けているのだ。
1990年代以降の「米露間の戦略兵器削減条約」について書こう。「第1次戦略兵器削減条約」(「START?条約」)は、1991年7月に調印されて、 94年12月に発効した。これは、戦略核兵器の運搬手段(すなわちICBM、潜水艦発射弾道ミサイルSLBM、そして戦略爆撃機)の保有上限を1600基(機)とするものであり、配備戦略核弾頭数の上限を6000発にするものである。 2001年8月までに削減を実行するものであった。実行された。「第2次START条約」は1993年1月に調印されたが米国上院が批准を拒否したので発効しなかった。「START?条約」は2009年12月で失効した。
「戦略核兵器削減条約(モスクワ条約)」は、2002年5月に調印されて翌6月に発効した。これは配備戦略核弾頭数の上限をSTART?条約の6000発から、1700発から2200に削減するというものである。削減した核弾頭は保管してもよい。運搬手段については規定がないので、START?条約の1600基(機)が保有上限である。実行された。
「新戦略兵器削減条約(新START条約)」は、2010年4月に調印されて 2011年2月に発効した。発効と同時に「モスクワ条約」は失効した。「新START条約」の内容は次である。戦略核兵器の運搬手段の保有(配備と非配備)上限を800基(機)とし、配備運搬手段の上限を700基(機)とする。そして配備戦略核弾頭数の上限を1550発とする。配備戦略核弾頭数の数え方は、ICBMとSLBMの核弾頭は、多弾頭であればその数だけ数える。爆撃機搭載核弾頭は全体で1発と数える。ICBM、SLBM、爆撃機の構成は、上限数の枠内で各国が自由に決める。両国は2018年2月までに、上記の上限数まで削減する。条約は2021年2月まで有効であるが、協議により最長5年間延長することができる。各国は条約を脱退する権利を有する、というものである。
米国国防総省は本年4月8日、新START条約を履行するために、SLBMの基数(発射筒)を現在の336基から280基に、戦略爆撃機を現在の96機から66機に削減し、ICBMの基数は現在の454基を維持すると発表した。これにより現在3種で886基(機)であるが、2018年2月までに800基(機)に削減されることになる。米国はそのうちの100基(機)を非配備にして、配備を700基(機)とするわけである。
米国のICBMは全て単弾頭である。だからICBM454基の全てが配備されると454発の核弾頭である。SLBMは多弾頭である。「基」とは発射筒などの発射装置であり、基数はミサイル(ICBM,SLBM)数ではない。 1つの発射筒・装置で「予備のミサイル」を発射できるのである。だから予備のミサイルが重要になってくる。だから予備の核弾頭も重要である。新START条約には、予備ミサイル、予備弾頭の規定はないから、どれだけでも保有できる。
米国は2009年1月現在で、5576発の戦略核弾頭を保有していた。それが2013年9月の時点では4804発に削減されている。米国はこれを更に削減していくことになる。しかし米国には、戦略核弾頭を製造する工場はないのだ。また米国はICBMもSLBMも生産していないのである。条約の精神に拘束されるからだ。
ロシアは2009年1月で3909発の戦略核弾頭を保有していたが、2013年1月には2500発まで削減したと申告している。これらが嘘であるのは明白だが、米国は簡単に騙されてどんどん削減していくわけである。 戦略核兵器の運搬手段では、米国は2009年1月にはICBM550基、SLBM432基、戦略爆撃機216機の計1198基(機)を保有していたが、 2014年4月には上記のように886基(機)まで削減し、新START条約で2018年2月までに800基(機)に削減する。
ロシアは2009年1月にはICBM469基、SLBM268基、戦略爆撃機77機の計814基(機)を保有していると申告していた。ロシア(と中共)は嘘しか言わないが、素人が詐欺師に騙されるように米国はロシアに容易に騙されてしまう。ロシアのこの814基(機)に合致するように、「新START条約」の運搬手段の保有上限数800基(機)は決められていったわけである。米国は今も反米主義者でロシアと中共の思想工作員であるキッシンジャーの誤った「相互抑止理論」(対等の時に相互抑止が働く。だから核の優位は放棄すべきだというもの)に洗脳されているのである。
ロシアは現在でも、戦略核弾頭を1万発くらい保有しているのだ。正しく申告などしない。そして予備ミサイルも発射装置の2倍を保有している。これらを(発射装置も含め)隠し持っている。内部告発などないからだ。そしてロシアでは、各種の核弾頭製造工場が稼働しているし、各種のミサイル製造工場(ICBM、SLBM、INF、短距離ミサイル)も稼働中である。だからロシアは、核軍縮条約で米国の戦略核兵器運搬手段の保有基(機)数の上限と、配備戦略核弾頭数の上限を低くすればする程、米国の保有戦略核弾頭数や予備ミサイル数も少なくなり、ロシアが条約を破棄して急増産すれば(隠してきたものと合わせて)、短期間で対米絶対優位を確立することが出来るわけである。またロシアは、条約を破ってICBMの発射装置も久三さんする。
中距離核戦力(INF)は、米国は陸上のも海洋のも無いのだから、ロシアは条約を破棄してINFを急増産すれば米国を完全に圧倒出来てしまう。 ロシアは一気に西欧、東欧、中東、日本を侵略し征服することが出来るようになるのだ。
私たちは深刻に自己批判して(保身を排して)、新ロシアはソ連の偽装国家であることを認識していかなくてはならない。米国は核軍縮を直ちに止め、核軍拡に転換していかなくてはならない。NATO諸国も日本もINFを配備して、米国の戦略核戦力と有機的に結合して、ロシアと中共を封じ込める「戦域限定核戦略・態勢」を早急に構築していかなくてはならないのである。
安倍内閣は4月17日、岸田外相の(4月予定の)訪韓を中止するのではなく、6月以降に延期したと発表した。私たちは独裁国家で日本領土を侵略中のロシアを、さらに北海道、東日本の侵略せいふくをも狙っているロシアを、「戦略的パートナー」とする反日左翼でロシアの先兵である安倍首相や菅官房長官や谷地国家安全保障局長らを、打倒していかなくてはならない。彼らはロシア、中共の意を体して「核廃絶」を主張している反日左翼である。戦いはここからしか始まらないのだ。
2014年4月24日脱
大森勝久
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